人生フルーツ

映画『人生フルーツ』を観てきました。名古屋市の北東部に隣接する春日井市は高蔵寺ニュータウンに住む、90歳と87歳のご夫婦のドキュメンタリー映画です。主人公の津端修一さんが建築家とい事で興味があり楽しみにしていました。実は昨年のうちに前売りチケットまで用意していたのですが、上映初日もあって開始30分前に行ってみたもののすでに1回目の定員はいっぱいで2回目以降の整理券をもらうはめになってしまいました。津端さんは日本住宅公団に勤務していたころこのニュータウン計画に携わることとなりました。そのプランはもとの地形をなるべく残し、緑豊かな団地としてマスタープランを描いたのですが実際に開発されはものは、世帯数を大規模化するために、山林はなくなり無機質な団地開発となってしましました。自分もいままで何件か住宅設計をさせていただきましたが津端さんのマスタープランとは程遠い団地となっています。当時は人口増の問題もあり、やむを得ないかもしれませんがご近所が40年以上も前の建物でそこに新築建物を調和させる難しさもあります。全国にあるニュータウンも同じ問題を抱えている事でしょうね。

日本住宅公団に勤める前はアントニン・レーモンド事務所に勤務していたそうで、ニュータウンのマスタープランもレーモンドの設計思想にそったプランのような気がします。レーモンドの謳う五原則のなかで単純さ、経済性、自然さ、などが実によく反映されていました。レーモンドの建物は名古屋市内の

南山大学でも見ることができます。自分も以前この大学を調査させていただく機会がありました。

レーモンドの五原則を活かした例としてはとっても理解しやすいキャンパスでした。それから津端さんご家族は実際にこのニュータウン内に約300坪の土地を購入し生活をはじめます。この写真のパンフレットのなかにもイラストが描いてありますが地形を残し、緑を植えて、そして野菜を作る。いまふうに言えばまさにスローライフを40年もまえから実践していたのがよくわかります。映画のなかでご自宅もでてきますが、それもレーモンドの東京の自邸(現存せず)に倣った平屋の建物で、いまのお二人にピッタリのお家でした。それから奥様の英子さんが実に働きものでとってもかわいく映っているのが印象的でした。

デザインが美しければ時が経ってもかわらず人に愛され、大事にされる。そんな建物を建築し、そして残していければ素晴らしいことだと思いました。

みなさんも是非『人生フルーツ』鑑賞なさってみてはいかがでしょうか。

樹木希林さんのゆっくりまったりしたナレーションともあいまって癒されるの間違いないです。

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